部活顧問の暴言、暴力、理不尽を許さない!スポーツ指導の実態を知り、子供達の未来を守る!

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目次

不適切な指導による死亡事故の事例は「仕方がない」のか?

今回は日本のスポーツ指導における子供への暴力や虐待について見ていきたいと思います。日本では昨今まで部活動で生徒が命を落とすケースが後を絶ちません。

もしかしたらあなたは

「激しい運動を伴うから」
「柔道などの格闘技は打ち所が悪かったりするから」

そんなリスクもあって仕方ないと思っているかもしれません。私もこの書籍を読むまでは、そう思っていました。

しかし、それは大きな間違いだということに気がつきました。

多くのスポーツ指導、部活動での死亡事故は、指導者の不適切な指導により死亡したケースがほとんどなのです。

中には指導者自らの暴行や虐待により死亡したケースも少なくありません。それにも関わらず、学校側も、指導者も遺族に謝罪しないばかりか事実を学校ぐるみで隠蔽し、他の生徒達にも起きた事実や指導の実態を隠すよう指示をする。

本当に酷いと生徒本人に問題があったかのように説明され、さらには同じ部活の生徒の保護者も指導者を擁護し、近所からは慰謝料目当てなどと冷たい目で見られたりするケースもあるそうです。

一番の被害者は死亡した生徒で、一番悲しい思いをしているのは被害者遺族であるにも関わらず、殺人者である指導者は無実でのうのうと指導を続け、学校は嘘をつき、世間からはあらぬ噂を立てられる。

こんな事が起きているという実態があって良いのでしょうか?

殺人者は無罪で、被害者や被害者遺族には仕打ちが待っている。本来スポーツは若者の身体の可能性と、大きな夢や未来を見せるものではなかろうか?

なぜその若者の命が大人の暴力によって失われ、組織によって殺人者を無罪にし、被害者とその遺族を地獄に墜とすような事が起きるのだろうか?

今回はそんな日本におけるスポーツ指導の実態と異常性、そしてどうやって子供を守るのかを考えていきましょう。

日本の部活を見た海外の反応は「明らかにおかしい」「異常だ」

また、世界から見ると、日本のスポーツ界の子供達の指導がいかに異常かが分かります。

特筆すべきは日本の柔道。日本では1983年から現在までにすでに120人以上の生徒が柔道事故によって死亡しています。

日本の中高生だけが柔道で亡くなる驚きの実態(東洋経済)
https://toyokeizai.net/articles/-/364635

こちらの記事では、世界の強豪国は柔道における死亡事故は0であり、60万人の柔道人口を誇るフランスでさえも死亡事故はおろか、重大な事故は起きていないと言われています。にも関わらず、日本は中高生だけで死亡する生徒が後を絶たないという非常に不名誉な事実が存在しているのです。

日本は柔道は「お家芸」と呼ばれ、常にトップクラスであろうと躍起になりますが、強豪と呼ばれるフランスやブラジルにメダルを取れないという結果の問題はもちろんありますが、根本問題として「指導」の在り方そのものが他の国と比べて劣っているという問題が変わっていないのです。

スポーツ指導のレベルの低い指導者が根性論や理不尽、無理な指導を行い、死亡者を増やし、イメージダウンに加速が付いているだけと言えます。今後少子高齢化も伴って日本の柔道志願者はさらに減り、日本のお家芸はフランスやブラジルと言った強豪国に叶わなくなる未来も近いと感じています。

さらに世界から見た日本のスポーツの指導の異常性は柔道だけではありません。「数え切れないほど叩かれて」という報告書があります。

数え切れないほど叩かれて(ヒューマンライツウォッチ)
https://www.hrw.org/ja/report/2020/07/20/375777

ここではいかに世界がセーフスポーツを目指しているのに逆行し、日本のスポーツや暴力による指導をしているという恥ずべき実態が書かれています。

このように日本のスポーツがいかに「暴力」頼みで世界から遅れているかが分かります。

暴力顧問を多く輩出した日体大はやばい。そんな日体大から加害者を出さない宣言「反体罰、反暴力宣言」

書籍の著者である南部さおり先生は、こうした体罰などの問題から、2016年、日体大の教員となりました。「日体大からスポーツ指導における加害者を出さない!」という想いからだったそうです。

日体大、日本体育大学と言えば部活動における事故の被害者の方々からは「暴力的な指導をする体育教師を輩出する大学」、つまりまさにこうした不適切な指導における死亡、または重篤事故を起こす「悪の巣窟」というレッテルが貼られていたようです。

しかし2013年、当時の学長である谷釜学長により、「反体罰・反暴力宣言」が出され、これ以上スポーツ指導の現場において暴力や体罰を用いての指導を根絶するという宣言が出されました。「悪の巣窟」とも言える日体大が本気で暴力根絶を目指したのです。

その本気さに押され、また、南部さおり先生自身の信念をもって、日体大に赴任され、暴力指導の根絶を行っています。

私自身も本書を通して実際の部活動や子供に対する死亡事故や指導の実態を見てきました。そこには見るに堪えない指導の実態や、そこで命を亡くした若い子供達、被害者の地獄のような苦しみ。

私は何度も1つの章を読んでは本を置き、重いため息をつかずにはいられませんでした。

「もしこんな事が起こり、自分が娘を亡くしてしまったら・・」

と、他人事とは思えず、涙を流さずにはいられませんでした。

そんな実際の事件の一例を見ていきたいと思います。

竹田高校剣道部で起きた顧問による死亡事故

参考
・「反体罰宣言 日本体育大学が超本気で取り組んだ命の授業 著-南部さおり 出版社-春陽堂書店」
・「弁護士ドットコムニュース」© Bengo4.com, Inc. 2005 – 2025
https://www.bengo4.com/c_18/n_16528/
・卒業生を加害指導者にさせない! 日体大が超本気で企画した「一生もの」の講義とは(yahooニュース)
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/0d0d0a94c2f263f1cf8284b942a022bb34a8a535

2009年8月22日、大分県立竹田高校の剣道部員だった工藤剣太さんが剣道部の練習中に救急車で運ばれ亡くなった。

亡くなった直後の司法解剖では、内臓が熱変成が起こり煮えた状態になっていたという。死因は熱中症だった。しかしただの熱中症だったと言うにはあまりに異常だった。死後17時間しか経過していないにも関わらず、腐敗がかなり進んでいたという。

竹田高校剣道部に赴任した顧問、いじめのターゲットを作り生徒を服従させる

当時の顧問はあまりに厳しい指導で知られていた。あまりの厳しさに保護者から批判があがることもあった。

そんな顧問は当時から熱中症に関する認識の甘さがあった。剣太さんが入学する以前から剣道の夏合宿で熱中症で救急搬送される生徒が何人も出ていた。

さらにはこの顧問の指導方法はターゲットを作り、その人を見せしめにすることで、他の部員に言うことを聞かせようとしていたのだという。前任の高校では、そんな顧問のいじめにされた剣道部の主将が不登校になり、剣道部を去っていた。

そんないじめのターゲットに今度は主将である剣太さんが選ばれた。

熱中症で危険な状態の剣太さんに怒鳴り、ビンタをして、放置する

この日も剣太さんに対するいじめのような見せしめ行為が行われていた。この場には同じく剣道部員になった剣太さんの弟もいた。

顧問は剣太さんの練習を他の部員達に「工藤がちゃんとできていると思うか?」と、合否の判定をさせた。他の部員達は顧問が納得していないことは明らかだったため、不合格とせざるを得なかった。何度も同じ動きを蒸し風呂状態の剣道場でさせられ、剣太さんは既に熱中症になっていた。

見かねた部員の1人がおそるおそる合格としたが、顧問はやはり激怒。

「これのどこが良いんだ!」

と怒鳴りつけた。その後も難癖をつけてはパイプ椅子を投げたり、壁にたたきつけたり、すでに指導の域を超えた明らかな暴力であった。

この時、他の部員達も既に熱中症にかかっており、トイレに駆け込み嘔吐する部員がいた。吐き気は既に中度の熱中症で危険な状態であった。しかし顧問は心配するどころか、腰のあたりを竹刀で叩いた。他にも何人も倒れた部員がいたが、げんごつで殴るなど、熱中症で危険な状態の生徒に暴力を振るった。

その中でもターゲットにされた剣太さんが最も危険な状態でありながらも、顧問は何度も剣太さんにやり直しをさせた。剣太さんは顧問に足蹴にされてこらえきれずに倒れてしまった。

その後、突然飛び起きたかと思うと、その場で面と胴を外そうとした。顧問が「何してるんだ!」と怒鳴ると、剣太さんは「本能です!」と怒鳴り返した。既に顧問に対して怒鳴り返すほど、剣太さんの状態は異常な状態だったのだ。

その後剣太さんはフラフラと壁にぶつかり、壁に思い切りぶつけ、額に血を流し倒れた。しかし、そんな剣太さんの様子を見て顧問は「これは熱中症じゃねえ!演技じゃろが!」と怒鳴り、既にほとんど意識の無い剣太さんに対し往復ビンタを10回もぶちこんだ。

この時にようやく剣太さんの異常に気がつき、救急車を要請したという。

両親に対して「そんなにキツい練習はしていません」と自己擁護する顧問

剣太さんの父親と母親が顧問からの連絡で病院へ行くと異様な光景が待っていた。剣太さんは完全に目の焦点は合っておらず、白目をむいて「うおー!」と激しく暴れていた。

そんな子供の異常な状態を目の前にしたショックからか、母親の記憶からその時の剣太さんの記憶がすっぽりと抜けているという。なお顧問はこの期に及んでも「そんなにきつい練習はしていません」などと言っていたという。

剣太さんはその後熱中症による多臓器不全で亡くなった。

お通夜 何も知らずに剣太さんを待ち続けた彼女

通夜の夜、顧問がやってきた。剣太さんの弟は「お前が剣太を殺したんや!」と顧問に殴りかかろうとしていた。顧問は「気付けのためにやった」などと繰り返すばかりだった。まるで仕方なく殴ったりしたかのような口ぶりだった。

一方、剣太さんには当時お付き合いをしていた女性がいたようで、事件の当日も花火大会へ行く約束をしていた。彼女は剣太さんが亡くなった事を何も知らずに浴衣を着ながら待ち続けた。若い2人の恋すらも暴力顧問は奪っていった。

顧問を守る学校 殺人の償いは停職6ヶ月

剣太さんが亡くなってから3日後、保護者会が開かれるという話を聞いた。工藤さん一家へ何の連絡もなかった。学校側は明らかに工藤さん一家抜きで保護者説明会を行おうとしていた。

保護者会でも学校は顧問に簡単な聞き取りと、在校生の心のケアに終止するだけだった。このような学校の不誠実さと、空っぽの内容に工藤さん一家は怒りを示した。

顧問を懲戒処分にしろ!という工藤さんの要求に対して、出された処分は顧問は停職6ヶ月。暴力を止めなかった副顧問は停職2ヶ月というあまりに軽い処分だった。そして工藤さんご夫妻は、裁判という長い戦いによって顧問と戦うことを決めた。

長い裁判

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