誰も死なないけど死がそこにある絵本。残された大切な人にペットが送る感動の言葉「わすれていいから」

楽天ブックス
¥1,650 (2024/12/25 05:42時点 | 楽天市場調べ)
目次

絵本、わすれていいからのあらすじ

初めて猫である「おれ」がこの家に来たとき、生まれたばかりの「おまえ」がいた。

「おれ」はどんどん大きくなり、「おまえ」はゆっくり大きくなった。

「おまえ」は小学生にあがり、どんどん家にいないことがおおくなっていく。

嬉しいときも、悲しいときも、「おれ」は「おまえ」の傍にいる。

「おまえ」はすっかり大きくなって・・・

そういえば、「おまえ」、最近いないな。

ああ、そうか、おまえあたらしいなわばりをみつけたんだな。

今までありがとう。「おれ」のことはわすれていいから

誰も死なないのに、「死」について考える絵本?

「わすれていいから」は2024年に出版された割と新しい絵本です。

「第15回リブロ絵本大賞」入賞、第5回TSUTAYAえほん大賞第4位を獲得し、重版が決定するなどの人気を博しています。

呼んだ方の多くが

「猫なりの送り出す精一杯のエール」
「旅立ちを応援する絵本」

という感想を持っていて、表紙のカバーにも

「すべての旅立ちを応援する、ある少年と猫の物語」

という題材が書かれています。

確かにその少年である「おまえ」が自立していき、猫である「おれ」がそれを応援する、そんな絵本の一面もあると思います。

ですが、私はこの絵本は「誰も死なないけど、死について考える本」だとも思うのです。

というのも、もしあなたは独立していく子供にどんな声を掛けるでしょうか?

「いつでも戻ってきて良いからね」
「いつでもここがあなたの家だからね」

きっとそんな言葉を贈るんじゃないでしょうか?

「忘れていいから」

というのはいささか大げさ過ぎると思うのです。

逆に自分がもしもこの世を去るとき、あなたは自分の子供にどんな言葉を掛けますか?もしあなたの子供が自分の死を悼み、泣いていたらどうでしょう?

「自分の事なんか忘れて良いから、笑顔でいて欲しい」
「悲しむことよりも、幸せに生きて欲しい」

この絵本の「忘れていいから」は、このメッセージに近いものがあるのかなと感じます。

猫は少年が小さい頃から一緒にいて、大きくなって自立し家を出て行く、つまり数十年の日々が経っている、そして少年がどんどん成長していくのに対し、「おれ」は少し小さくなったと絵本の中で話しています。つまり、読者から見ても猫が年をとっていくことが想像できるのです。

この物語はこれから輝く人生を送る「おまえ」に対してこれから死にゆく「おれ」の別れの話なのかもしれない。作者さんの本当の意図は分かりません。しかし私の考察の意図は、この死をうっすらと感じさせる。だからこの本はどこか泣けるのかもしれません。

人間と猫という生物の成長速度の違い、そして生物としてのライフスタイルの変化。人間の兄弟だったなら成長も変化も共に共有できるけれども、決してそれは出来ない定めなのかもしれません。

でも、共に育った日も、楽しかったことも、悲しかったことも、決して嘘じゃない。だからこそ最後に精一杯出した「おれ」の精一杯の愛情の言葉なのだと思います。

そんな猫の気持ちを是非想像してみてください。

最後までお読みくださりありがとうございました。

楽天ブックス
¥1,650 (2024/12/25 05:42時点 | 楽天市場調べ)

ブログランキング始めました。クリックして応援して頂けると嬉しいです

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次