保健の授業が気まずいと感じるのは大人の責任?今幼児期から家庭で性教育を進めなければいけない理由

目次

現代の性教育の必要性が急激に変化した

現代の性教育の在り方は、20~30年前より急激に変化しています。性教育はもはや保健の授業でやってもらえるという認識は古く、家庭の幼児期で始めないといけないと言われています。

今回はなぜ性教育は早くからやる必要があるのか、詳しく見ていきましょう。

そもそも私たちの時代、昭和から平成にかけての性教育ってどんなものだったでしょうか?恐らく小学3~4年生の頃に男女の体の仕組み、中学、高校の頃に生殖について、性行為、避妊についてを学び始めたと思います。

恐らく一昔前は保健の授業の一部として学ぶもので、あくまで5教科よりも優先順位の低い、そして扱いにくい授業という部類の学びだったのではないでしょうか?

しかし現代はそんな「保健の一部」として扱うようなものではなく、性教育は早い時期に取り入れる必要性が出てきました。

さらに、学校の教育では間に合わず、家庭で性教育を教えることを推奨されています。なぜ急激に性教育への重要性が問われているのでしょうか?

性教育を早く学ぶことの重要性

理由は主に4つです。

・心と体の発達が早くなったから
・ネットで性への情報が手に入りやすいから
・子供を巻き込んだ性犯罪が急増しているから
・多様な性に対応するため

心と体の発達が早くなったから

現代の子供達は心と体の発達が急速に早くなりました。いわゆる思春期を迎えるのが昔より早いのです。

男の子の場合精通(精子が出る)時期や声変わり、体格が変わるなどの変化が小学高学年で起こる事も多くなり、女の子の初潮も早いと10歳で迎えることもあると言われています。

その要因は栄養状態の向上や、性情報へアクセス出来るようになり刺激を受ける変化も早くなっていると言われています。

いずれにせよ、性への関心、そして生殖能力が可能な年齢は引き下がっているという事実があります。私たちは早い段階から性教育の知識を子供達に教え、犯罪の防止、避妊についてを教えることが急務になっているのです

ネットで性への情報が手に入りやすいから

インターネットの普及により、私たちの子供時代よりも、より性に関する知識が手に入りやすくなりました。

しかしながら、性に関して全てが有益な情報ばかりではありません。間違った知識や、暴力を含む内容なども含まれています。

しかし現代ではインターネットを使わずに子供達を育てていくのは難しいでしょう。なので私たちがインターネットの情報を疑い、正しい知識を早いうちに学ばせなければなりません。

子供を巻き込んだ性犯罪が急増しているから

さらに18歳未満に対する性犯罪も急増していることが背景にあります。大人自体が対等な恋愛関係を築けず、自分より弱い子供に性への欲求を求めるという人間が増えています。

さらに、SNSの普及により安易に第三者の大人と話をしたり、出会うことが出来る時代です。そうして性犯罪に巻き込まれる事件も高まっているのです。

そして性犯罪被害者は女の子だけでなく、男の子も狙われるケースも増えているのです。そして性犯罪に巻き込まれる要因としては、性被害に巻き込まれるリスクをそもそも理解していない、そしてイヤと言えないなどの要因が挙げられます。

ただでさえ性犯罪は声を挙げにくく、それにより深刻化して子供達の心の傷を広げやすい問題です。なので性犯罪への防止として、性教育を学ぶ重要性が高まっているのです。

多様な性に対応するため

私たちの時代は主に「男」と「女」しかいないとされる時代でした。しかし現在ではLGBTQ+という様々な性の多様性が容認されています。

なのでそういった性の多様性についての知識も知り、相手を尊重する事も知らなくてはなりません。性教育とは、生殖の知識に限らず、相手の違いを尊重する人間関係の知識でもあるのです。

国際セクシュアリティ教育ガイダンスと8つのキーコンセプト

性教育とは生殖、体の仕組み、避妊などを学ぶだけではありません。人間関係や犯罪や暴力から身を守るなど、もっと広い分野で学ぶことが増えているのです。

これを包括的性教育といいます。包括的性教育では、性や身体はもちろん、人間関係、ジェンダー、権利、健康について科学的で正確、年齢に応じた方法で教える教育です。つまり、自分を大切にしながら、他人の権利や健康も尊重する力を育てるという教育です。

もはや「性」教育は、「生」教育と言っても過言ではありません。

世界ではすでにユネスコを中心に国際セクシュアリティ教育ガイダンスというガイダンスという指針として策定されています。この包括的性教育を世界中で行っていきましょうという取り組みですね。

この国際セクシュアリティ教育ガイダンスには8つのキーコンセプトがあります。

・人間関係
家族、友人、恋人、職場など、他者との関わり方を学ぶ。

・価値観、人権、文化、セクシュアリティ
自分と他人の性に関する権利を理解し、守る。

・ジェンダーの理解
男性、女性、その他の性別の多様性と平等について学ぶ。LGBTQ+の理解など。

・暴力と安全確保
嫌なものは嫌という力。助けを求める力を育てる。安全な環境のつくり方。

・健康とウェルビーイング(幸福)のためのスキル
自分らしく心と体を健やかに保つための力。

・人間のからだと発達
身体、心、性の成長・変化について理解する。思春期や生殖について。

・セクシュアリティと性的行動
性的な選択について考え、責任ある行動が取れるようになる。

・性と生殖に関する健康
妊娠、性感染症(STI)、避妊など、健康を守る知識を学ぶ。

性教育が不足しているとどうなる?

逆に性教育が不足しているとどうなるのでしょう?6つの問題が浮き彫りになります。

・誤った情報や迷信を信じやすくなる
・性感染症や望まない妊娠が増える
・性被害に気付きにくくなる・防げなくなる
・自分の体や気持ちに自信を持てなくなる
・ジェンダー差別や偏見が助長される
・恋愛・人間関係のトラブルが増える

誤った情報や迷信を信じやすくなる

性教育が不足していると、ネットでの誤った情報を鵜呑みにしてしまいがちです。成人向けの暴力的な動画やビデオを見て、これが性行為だと認識してしまったりして、間違った価値観で知識を得てしまう可能性があります。

性感染症や望まない妊娠が増える

避妊や性感染症のリスクに関する知識が不足しているため、性病にかかってしまったり、望まない妊娠により中絶などで、心と身体に大きな負担を掛けてしまう可能性があります。

性被害に気付きにくくなる・防げなくなる

性教育が不足していると性被害に対して身を守ることが難しくなります。自分の身体を触られることに対して「No!」が言えず、長い間苦しむことになります。

「これって普通なのかな?」と思って嫌な思いしながらも拒否できなかったり、「自分が悪いのでは・・?」と自分を責めてしまい、相談できないケースもあります。

「イヤなことはイヤと言える力」
「大人でもしてはいけないことがある」
「何かされたら相談して良い」

という事を学び、性犯罪を防ぐ力が必要です。

自分の体や気持ちに自信を持てなくなる

突然の初潮や精通などの身体の変化が起こるとき、「これって異常なのかな?」「自分の身体は汚いのかな?」と情報がないと異常性を感じてしまいます。さらに日本では身体の変化についてなかなか教える人がいないのが現状ですので、余計に自分の身体の変化に自信をなくしてしまいます。

ジェンダー差別や偏見が助長される

「男はこうあるべき」「女はこうあるべき」という固定観念から抜けられず、知らず知らずに差別してしまう可能性が出てきます。また、現在多様化する性に対して知識がないと同性愛者やトランスジェンダーなどと言ったセクシュアルマイノリティーの人に対して偏見を抱いたり差別用語などを使ってしまうなどの問題が生じてしまいます。

恋愛・人間関係のトラブルが増える

同意の重要性を学ばないと相手のペースや気持ちを考えずにスキンシップを迫ったり避妊をせずに性行為に及んでしまうなどをして、相手を傷つけたりして信頼関係が壊れてしまうこともあります。

まずは大人から。性知識を最低限学ぶ。性について学べる本は?

性教育を早いうちに教える重要性を説明しました。性教育は出来れば3歳くらいから始めて良いとされています。

「性教育を早くから学ぶことの重要性は分かったけど、何から始めれば良いの?」
「3歳から一体何を教えるの?」

と思うかもしれません。そもそも親から性教育の知識が不足している可能性が高いのです。

私たちは小学4年から保健の授業で一部を学んだに過ぎないし、LGBTQ+の知識などは分かっているようでまだまだ知識不足の場合が多いです。まずは親から性教育の重要性と現代の性教育の大切さを学びましょう。

おうち性教育はじめます

「性教育を始めたいけど、どう教えたら良いか分からない」
「幼児や小学生に自然に性について教えたい」
「そもそも性教育ってなんで重要で早く始めるべきなの?」

そんな疑問に丁寧に応えてくれる書籍です。この書籍はなんと言ってもマンガ形式で大人も飽きずに読みやすいです。小学生くらいの子供と一緒に読むのも良いかもしれません。

また、よくある困ったときのシチュエーションにも優しく丁寧に答えてくれます。

・おちんちんを触っている子供になんて声を掛ける?
・テレビを見ていてベッドシーンがあった時はどうすれば良い?
・子供がアダルトサイト見ていたら?

などあるあるの場面に対しても丁寧に答えてくれていざって時の回答にも困らない!性教育について悩んでいる全ての親にまず手に取ってもらいたい良書です。

マンガで分かるLGBTQ+

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こちらは性の多様性をマンガ形式で深く学べる本です。

LGBTQ+というのは私たちが子供の頃は学んでいなかった内容なので、大人がしっかりと学習する必要があります。

さらに同性愛者や両性愛者、トランスジェンダーなどは身近にいる可能性があるのでしっかり学んでおかないと差別や相手を無意識に傷つけてしまうことにもなります。

例えばいわば異性愛者(ストレート)であることを紹介するとき

「普通の異性愛者です。」

「異性愛者以外は異常なの?」

シスジェンダーのヘテロセクシュアルと言えるか?この意味を理解しているか?

ホモ、レズ

こういった言葉も差別用語。

さらに様々なシチュエーションに対してどう対応するかも詳しく描かれています。

・カミングアウトされた時にどう答えれば良い?
・子供が同性愛、両性愛者だった場合どう接すれば良い?
・セクシュアルマイノリティの人々が過ごしやすい環境を作るためにどうすれば良い?

性の多様性について教えるためにもしっかりと理解しておきましょう。

3歳から始める性教育の絵本

3歳から始める性教育はまずは何を教えるべきか?

国際セクシュアリティ教育ガイダンスのキーコンセプトのこの部分にフォーカスしてまずは教えていきましょう。

・人間の体と発達
まずは自分の身体のパーツの名前を理解する事が大切。そのうえで、自分にとって大切な身体の部分(プライベートパーツ)はどこかを理解する。

・暴力と安全確保
相手に「見せて」、「触らせて」という要求に対して、何がダメで、何が良いのかを理解しておく必要がある。幼児期から性犯罪に巻き込まれる可能性があるので、小さいうちから防衛手段を理解しておく必要がある

・価値観、権利、文化、セクシュアリティ
自分にはNo!と言える権利があるという事を学ぶ必要がある。

今回は難しい文章の本が少ない絵本形式のものや、マンガ形式で大人も子供も分かりやすい本を選んでみました。


さわってさわって

国際セクシュアリティ教育ガイダンスのキーコンセプトのうち学べる項目

・人間のからだと発達

対象年齢
0歳~

自分の身体にはどんな名前が付いているのか、子供と一緒に触れ合って言葉を覚えるのに最適です。とてもシンプルな絵本なので、0歳からの読み聞かせとしても読めます。子供とのスキンシップと愛情表現にも◎


だいじだいじどーこだ?

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国際セクシュアリティ教育ガイダンスのキーコンセプトのうち学べる項目

・人間のからだと発達
・暴力と安全確保

対象年齢
2歳~

自分にとって大切な身体の部分とはどこなのか、自分のプライベートパーツは自分で守るということを教えてくれます。また、プライベートパーツに他人から「写真を撮らせて」「触らせて」と言われたらしっかりとNoと言う、自分の身体と拒否できる権利について学べます。


ようこそこどものけんりのほん

国際セクシュアリティ教育ガイダンスのキーコンセプトのうち学べる項目

・暴力と安全確保
・価値観、人権、文化、セクシュアリティ

対象年齢
3歳~

子供は人間らしく生きる権利があり、人と違っても良いという権利があることを教えてくれます。

権利というと、権利を盾にわがままになるのではないかと思ってしまいますが、権利はあくまで他人との共和との間で成立するものです。希望通りにならないときもあるけど、意見を言ったり、気持ちを伝えること、尊重してもらうというのが権利なのです。そういったことをしっかりとこの絵本で教えてくれます。

この本を通して大人も子供の話を聞き、権利があることを認識して良い関係が築けるようになります。。

余談ですが、ヨーロッパの子供は幼児から落ち着いていて、日本の子供のように駄々をこねることはないとされています。それは一言で言えば人権教育がしっかりしているからと思っています。

対等な人間として話を聞いてもらったり意見を言える文化なので、子供も落ち着いている。日本も他人の意見を尊重し、自分の意見を尊重してもらうことで子供のわがままは返って減り、他人との衝突も減るものだと考えています。人権を知ることで子供は大人になり子育ても楽になると言えるでしょう。

5歳~小学生低学年にオススメの絵本

げっけいのはなし いのちのはなし

国際セクシュアリティ教育ガイダンスのキーコンセプトのうち学べる項目

・人間関係
・価値観、人権、文化、セクシュアリティ
・人間のからだと発達

対象年齢
5歳~

オススメポイント
・生殖のこと、セックスや性器のことを優しいタッチでさらっと解説してくれて読みやすい。
・月経があるから大切なあなたがいるという自己肯定感や自信を与えられる
・月経があっても生まないという選択が出来るという多様性についても話が出来る。

小学生の太郎がお風呂でお母さんの月経を見て心配する話から、月経について、子供が出来るまで、そして命についてを話す絵本です。

子供に赤ちゃんはどこから生まれるのか?どうやって出来るのか、という生殖を説明するのにとてもオススメです。そして家族の大切さや子供の尊さも同時に教えられ、なぜか泣ける絵本です。教えにくい部分を優しく子供に教えられるオススメの1冊です。


そうなんだ!子どもの権利

国際セクシュアリティ教育ガイダンスのキーコンセプトのうち学べる項目

・人間関係
・価値観、人権、文化、セクシュアリティ
・暴力と安全確保

対象年齢
小学校低学年(6歳~)

子供にはどんな権利があるのかをマンガ形式で知ることが出来ます。1989年に制定された子どもの権利条約に基づいて、子供が有している権利について、何を守り、何を侵害してはいけないかを子供達の身近な生活の中で解説しながら教えてくれます。


こどもジェンダー

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国際セクシュアリティ教育ガイダンスのキーコンセプトのうち学べる項目

・人間関係
・価値観、人権、文化、セクシュアリティ
・ジェンダーの理解
・暴力と安全確保

対象年齢
小学校低学年(6歳~)

YouTubeで性教育についての発信をしているシオリーヌさんの書籍です。

「男らしさ」、「女らしさ」ではなく、「自分らしさ」を大切にしようというジェンダーについてのありかたや、プライベートパーツを勝手に覗いてはいけないということ、LGBTQ+について、そういったジェンダーと性の多様性などをとても分かりやすいイラストで説明してくれています。

性のことを包括的に分かりやすく知りたい子供達にオススメの1冊です。

小学生高学年、中高生にオススメの本

小学高学年以降からは避妊についても学んでいけると良いです。というのも思春期の早まりもあり、性行為の経験が早くなっているので、自分と相手の気持ちや身体を大切にする、妊娠と性行為のリスクなどもふまえて学べるものが良いです。

とは言え、さすがにこの時期になると、一緒に本を読んだり話を聞いてくれる年齢でないかもしれません。ハードルが高いならオススメの書籍として紹介してあげるのも良いでしょう。

性の話はタブーじゃない!小学生だから知ってほしいSEX・避妊・ジェンダー・性暴力

国際セクシュアリティ教育ガイダンスのキーコンセプトのうち学べる項目

・人間関係
・価値観、人権、文化、セクシュアリティ
・ジェンダーの理解
・暴力と安全確保
・性と生殖に関する健康
・健康とウェルビーイング(幸福)のためのスキル
・人間のからだと発達
・セクシュアリティと性的行動
・性と生殖に関する健康

対象年齢
小学校高学年(10歳~)

タイトルの通り性行為や避妊などの方法をマンガ形式で詳しく解説しています。コンドームの使用方法から避妊や中絶についてまで踏み込んだ内容も小学生に分かりやすく解説していて分かりやすいです。

番外編、性教育にオススメのYouTubeとホームページ

最後に性教育を学べるYouTubeやネットを紹介します。自身の性教育の知識習得としても使えるし、子供にオススメできます。

シオリーヌ

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